原子力に関連する話は、日常で使うことがほぼない専門用語が数多く含まれることから、ちゃんと理解していなかったり、間違えて覚えてしまった言葉もあるかと思われます。
その「分かっているようでよく分かっていない」原子力に関連する言葉の一つとして「半減期」が挙げられるでしょう。
マスコミが一方的に流す情報を何度も繰り返し聞いていると、自分でも分かったつもりになってしまい、自ら調べて確認するということをつい疎かにしてしまいがちです。
実際に「原発」や「放射能」についての情報を発信している人の中にも、「半減期」について間違った解釈をしている方も見受けられますので、「半減期」についての復習も兼ねながら、世の中の「放射能」関連の情報を比較してみたいと思います。
比較するとなると基準が必要となりますので、最初はインターネットの初期ともいえる1998年から公開され、Googleでの「半減期」の検索結果でも上位に表示される、それなりの信頼性がありそうな情報から見ていきましょう。
環境科学研究所の説明
ここでは物理学的半減期に焦点を合わせて、お話しすることにします。
今からざっと40年程前、アメリカと旧ソ連が、競い合って大気圏内で原爆実験(核実験)を繰り返していた頃のお話です。大気圏内で核実験を行ったのは、上の2国だけではありません。中国、フランス、イギリス、インドなども行いました。新聞紙上には、連日のように「雨の中にストロンチウム-90、セシウム-137、ヨウ素-131が検出された」という記事がおどっていました。
10年程前(1986年4月26日)には、チェルノブイリの原子炉事故がありました。数多くの放射性核種が環境中に放出されましたが、代表的な放射性核種はヨウ素-131、ストロンチウム-90、セシウム-137などでしょう。
ここではストロンチウム-90(半減期28.8年)を例にとり、お話を続けます。ストロンチウム-90は変身してイットリウム-90に変わります。イットリウム-90は、更に変身してジルコニウム-90になり安定します。変身するときに放射線を出します。変身しないときには放射線を出しません。
世の中には、放射性核種は絶えず放射線を出し続ける性質を持っていると考えている人がいます。ひとつひとつの放射性の原子は1回だけ変身し、その時放射線を出すのです。常に出し続けているように見えるのは、数多くの放射性の原子が集まっているからです。
今ストロンチウム-90という原子1個をとり出せたとします。目の前のストロンチウム-90原子1個が、いつ変身するか、それは誰にもわかりません。どのストロンチウム-90の原子をとってきても同じことで、いつ変身するかわからないのです。
ただ、数十万、数百万、数千万、いやそれ以上の数のストロンチウム-90原子が集まった集団について観察すると、その丁度半分がイットリウム-90に変身するのに28.8年かかります。更に残ったストロンチウム-90の半分がイットリウム-90に変身するのに28.8年かかりそのまた半分が・・・・・・という具合にくり返されるのです。
とすると、ストロンチウム-90原子の中には、すぐ変身するものと、なかなか変身しないものがあるということになります。事実、その通りなのです。従って、ストロンチウム-90の物理学的半減期が28.8年であるというのは、何十万、何百万、何千万、それ以上のストロンチウム-90の集団について観察されることです。またその半減の仕方には特徴があり、時間が2倍、3倍・・・・とふえるに伴い、変身する数も2倍3倍・・・・になるような直線的(比例的)な減り方ではなく、図1に示したような減り方を示します。この減り方はどの放射性核種でも同じです。
図1 放射能の減り方半減期が比較的に短い放射性核種(例えばヨウ素-131、半減期8日)と、長い放射性核種(例えばセシウム-137、半減期30年)が同数(例えば10万個ずつ)あったとします。スタートしてから8日たった時点で比較すると、ヨウ素-131の方は5万個がキセノンに変身しています。変身する時に放射線を出しますので、8日間に5万個分の放射線が放出されたことになります。
半減期の例一方セシウム-137の方は、半減期が30年ですから、8日間ではほんのわずか(50個)しか変身しません。従ってそれに伴って放出される放射線の数も極めて少ないことになります。
このことからもわかるように、単に半減期が長いからといって危険度が高いとは言えません。危険の度合いは、生物体内に取り込まれ易いかどうか、どの部分にたまり易いのか、どれ位生物体内にとどまっているのか(生物学的半減期、前出)、どんな種類の放射線を出すのか、などの情報を総合して判断されるものです。
最後の段落を除けば、庶民を惑わせ不安がらせるための余計な情報もなく、簡潔にまとめられていて理解しやすい情報だと思います。
要点をまとめると以下のようになるでしょうか。
- 放射性物質は変身(放射性崩壊)する時に放射線を出す(変身しない時には放射線を出さない)
- 放射性物質が絶えず放射線を出し続けているという考えは間違い
- 放射性物質の原子は崩壊する時に一度しか放射線を出さない
- 半減期は確率論なので、特定の原子がいつ崩壊を起こして放射線を出すかは誰にも分からない
- (一定数の放射性物質があると仮定した場合)半減期が短い放射性物質ほど短期間で放出される放射線の数が多くなる
- (一定数の放射性物質があると仮定した場合)半減期が長い放射性物質ほど短期間で放出される放射線の数は極めて少ない
- 半減期が長いからといって危険度が高いということではない
こちらの情報をベンチマークとして、他の「半減期」に関する情報を見ていきたいと思います。
横浜市民測定所の説明
まずは、東日本大震災後に設立された市民ボランティア団体が発信している情報から見ていきましょう。
放射線について
まずはじめに、そもそも放射線とはなんぞや? というところから簡単に説明します。
今、私たちが問題視している放射線に限って言うと、アルファ線、ベータ線、ガンマ線という三種の放射線があります。これら放射線は、放射性物質というものから出されます。
よく聞くセシウム137とか、ヨウ素131というものが、その放射性物質にあたります。放射性物質というものは・・・そうですね〜、すんごく小さい粒だと思ってください。水素とか、酸素とか、炭素とか、聞かれたことあるかと思いますが、これらを「原子」と言います。この原子を、まずは「すんごく小さい粒」としておきます。
この世の全てのものは、この「原子」から出来ています。すんごく小さい粒の集まりなんですね。なかでも、放射性物質の粒は、不安定な状態で、いまにもはじけそうな粒なんです。早く安定な状態になりたくて、うずうずしています。で、ある「きっかけ」で、はじけて安定な状態に変化するのですが、このはじける瞬間に、放射線を出します。
放射性物質によって出される放射線の種類や数は異なるのですが、今はそんなことはどうでもいいです。
「放射性物質というものは不安定なものであり、ある「きっかけ」で、安定な状態に変化するのだが、この変化する(はじけて)瞬間に、放射線が出る。」ということだけ、覚えておいてください。
ちなみに、このはじけることを、「崩壊」(あるいは壊変)と、言います。
放射線の出方
すなわち、放射線とは、ラジオの電波か懐中電灯の光のように、「ずーっと連続して」出続けているものではありません。粒がはじけた時に、一度だけ、放射線を出します。(実は懐中電灯の光は、粒でもあるのでこの例えはウソなのですが、ここでは体感できるイメージとしてそこは不問とします。気にしないでください。)
今にも割れそうなほどパンパンに膨らんだ風船を想像してみてください。この風船が割れたとき、「ぱんっ!」って、音がしますね。放射性物質がはじけるのは、この風船が割れるのと同じような感じ。で、その時出る放射線は、「ぱんっ!」っていう、音のような感じと思っていただだければよろしいかと。すなわち、放射性物質があったとしても、はじけない限り、放射線は出てこないんですね。(2013年10月13日追記)
例えば、セシウム137が一粒あったとします。この一粒がはじけると、一度だけ放射線が出ます。はじけたセシウム137は、安定なバリウム137となって放射性物質では無くなりますので、もうはじけません。放射線は出さないということですね。
一粒のセシウム137は、一度(一発)だけしか放射線を出さないということです。ちょうど、ポップコーンに似ています。とうもろこしをフライパンで炒ると、だんだんはじけてきますよね。
コーンが200個あったとしたら、不発は無しとすれば、200回はじければ全部お仕舞いです。これと同じで、セシウム137が200粒あったら、200回放射線を出せばセシウム137はゼロになる(全部、安定なバリウム137になる)ということです。
さて、だんだんと、核心に迫ってきました ^^)
はじけるための「きっかけ」とは?
ここが山場です ^^) 普段、あまり馴染みのない考え方なので、じっくり読み進めてください。
放射性物質は不安定だけど、はじけて安定になれる。で、この、はじけた時に放射線が出る・・・というところまでは理解できたと思いますが、では、この、はじける「きっかけ」は、なにでもたらされるのか?
これは、確率なんですね。ここが難しいところです。
半減期:その放射性物質の濃度が半分になるために必要な時間。
ということは、みなさんうすうす知っていると思います。が、これ、よく考えてみると、非常に不思議な性質です。
「セシウム137は30年で半分になるのだから、60年で全部無くなるんでしょ?」
という質問をよくいただいたのですが、これは違うんです。放射性物質の濃度は、半減期後には今の半分になっているのですが、半減期後からさらに半減期を過ぎても、半減期後の濃度の半分にしかならないです。すなわち、四分の一ってことですね。
目の前にセシウム137が二粒あった場合、30年の間に、一粒が崩壊して放射線を出すのですが、これは、今、目の前で起きることかもしれませんし、29.9年後に起きることかもしれないんです。さらに、29.9年後にまだセシウム137が二粒あったとすると、その二粒あるセシウム137が一粒になるのは、29.9年後から数えて30年以内ということになります。
さぁわからなくなってきました。
まずはじめに、放射性物質のはじけ方というのは、時間軸に対して一定量起こるものではなく、一定確率で起こるものだと言う点を説明したいと思います。
例えば、コップにギリギリ溢れるほどの水を入れたとします。これを一日放置した結果、半分蒸発して残りが半分となっていたら、二日経てば全部蒸発して無くなります。これは、時間軸に対して一定量起こる現象です。
10円玉を200枚持っていたとします。これを、一日一回、部屋にぶちまけて、裏が出た10円玉だけを取り除いていくとします。裏が出る確率が1/2だとすると、初日にぶちまけて裏が出た10円玉は100枚になりますので、100枚が取り除かれて残りは100枚になります。二日目、この100枚をぶちまけると、裏が出た10円玉は50枚ですよね?
まさか全部裏になることは無いでしょう ^^) よって、50枚が取り除かれて、残りは50枚となります。
どうですか? わかりましたでしょうか? これが、「時間軸に対して一定確率で起こる」という現象です。
で、戻りますが、「放射性物質のはじけ方というのは、時間軸に対して一定量起こるものではなく、一定確率で起こるもの」ということになります。そしてこの、はじける「確率」が、半減期なんですね。
この半減期は、それぞれの放射性物質で固有の値を持っています。例えば、セシウム137なら約30年、ヨウ素131なら、約8日です。他にもたくさんの放射性物質がありますが、みなそれぞれ、固有の値を持っています。
『なんでそんなややこしいことになっているの?』という疑問を持たれるかと思いますが、ここはまずは、「そういうものなんだから仕方ない」ということで、疑問は棚にあげておいてください ^^)
半減期とはなんぞや?
セシウム137自体の「寿命」って、どうなるのでしょう? 寿命は、「不明」ということになります。それは、確率で生死が決まるからです。
例えば、セシウム137が200個あったとします。半減期30年として、全体の個数はこうなりますよね?
今 :200 個
30年後:100 個
60年後: 50 個
90年後: 25 個200個あった場合、30年後までに100個が消滅しましたが、90年後でも25個が生き残っています。
30年後までに消滅するものもあれば、90年以上生き残るものもある。これをみても、寿命というものは「不明」ということがわかります。
しかし、今の濃度が半分になるまでの期間は、はじける確率から出すことができますので、放射性物質が持つ放射能の時間的能力を示す数値として、「半減期」が使われるわけです。
例えばあなたがどこかの部屋に監禁されて、10円玉を持たされたとします。一日一回それを投げて、裏(表でもいいけど)が出たら釈放されるとした場合、何日目に釈放されるか、わからないですよね? ひょっとして今日いきなり裏が出るかもしれないし、明日かもしれない。いや、よっぽど10円玉運が悪ければ、十回投げても裏が出ないかもしれません。すなわち、あなた一人に着目すると、いつ部屋から出られるかは、やってみないとわからない。
しかし、あなた以外に199人、あなた含めて200人の人が監禁されていて、同様にみな10円玉を投げていたとしますと、たぶんですが、初日の投げで、半分ぐらいの人・・・100人ぐらいの人は釈放されることになるでしょう。放射性物質がはじけて放射線を出し、放射性物質でなくなる現象も、これとまったく同じ「確率」の仕組みで起きているのですね。
ですから、セシウム137が時間経過と共にどんどん減って行って、最後の1粒になったとします。この1粒は、いつはじけて無くなるのか。それは誰にもわからないんです。
今かもしれませんし、明日かもしれませんし、30年後かもしれないし、1000年後かもしれません。
素人でも分かりやすい説明にするために例え話を用いたことで、上手にまとめきれずにお茶を濁している部分もありますが、要点をまとめると先ほどの情報と同じような内容になっています。
- 放射線とは、懐中電灯の光のように、「ずーっと連続して」出続けているものではない
- 放射性物質がはじける(崩壊する)時に一度だけ放射線を出す
- 放射性物質があったとしても、はじけない(崩壊しない)限り、放射線は出てこない
- 放射性物質がはじけて(崩壊して)放射線を出し、放射性物質でなくなれば、もうそれ以上放射線を出すことはない
- ある一定量の放射性物質が崩壊して数量が半分になる「確率」のことを「半減期」と言う
ここまで「半減期」に関する二つの説明文を読んでいただきましたので、もう既に必要にして十分な知識を身に付けられていることでしょう。
大学の物理学教授の説明
では次に学習院大学の田崎晴明教授による「半減期」についての説明文を見てみましょう。
放射線と放射性物質の物理について知っておいたほうがいいこと
放射線は放射性物質から出ている「目に見えない何か」だ。しかし、これは別にオカルトっぽい話ではなく、放射線の正体はかなり詳しくわかっている。
ちゃんとした話は物理を学ばないとわからないし、ベータ線とかガンマ線とか言葉だけ覚えていてもそれほど面白くないよね。最低限、知っておくべきなのは、放射線というのは原子核が変化するときに出てくるということだ。これを少し説明するけど、ちょっと長いので途中はとばして最後の段落だけ見ておいてもいい。
~長いのでとばしました~
放射性物質というのはちょっと変わった原子核をもった物質だ。放射性物質の原子核は「不安定」で、ずっと同じ姿でいつづけることができない。もちろん、しばらくの間は「最初の姿」でがんばっているのだが、時間がたつ内に、ふと「崩壊(ほうかい)」をおこして別の原子核に姿を変えてしまうのだ。このときに、放射線がでるというわけ。不安定な原子核が、どのくらいのあいだ「最初の姿」でがんばっていられるかは物質の種類によって違ってくる。その目安が「半減期」。詳しく知りたい人は、この下の説明を読んでほしい。
読み飛ばした人も多いだろうけど(それでいいですよ)、大事なのは、(1) 放射性物質というのは特別な「不安定な原子核」をもっている、そして、(2) ふつうにものを燃やしたり化学反応させたりしても原子核はびくともしないということ。だから、煮沸消毒しても、焼却炉で燃やしても、微生物に食べさせても、放射性物質を分解して無害な物質に変えることはできない。放射性物質が自分で勝手に崩壊していくのを待つしかない。だから、やっかいなのだ。
時々、「放射性物質を分解して無害な物質に変える細菌がみつかった」なんていうニュースがある。本当ならうれしいけれど、もちろん、そんなことはあり得ないと思っていい。上に書いたように、生命は化学反応は利用しているけれど、原子核の変化を利用するのはエネルギー的に絶対に無理だからだ。「それでも可能性はゼロじゃないと言えばまあそうかもしれないけれど、もしそんなことがあれば歴史に残るものすごい科学の革命になる。ノーベル賞級なんていうレベルじゃなく、新たな研究分野が誕生し、関連する研究ですごくたくさんのノーベル賞が出るレベル。
半減期について
気になる人のために「半減期」についても説明しておこう(実は、こういう説明こそぼくの得意分野なのだ)。理数系の読者向けの解説「半減期の数学・ベクレルとモル数」もあるので、ここを読み終わってもっと知りたい方はどうぞ。
上で書いたように、放射性物質をつくっている原子核は不安定だ。 不安定な原子核は、しばらくのあいだは最初と同じ姿を保っているのだが、ある時に急に崩壊して別の原子核に姿を変える。
この崩壊のタイミングの決まり方が面白い。普通に考えると、きっと原子核が時間とともにだんだん「疲れてきて」、一定の時間がたって「疲れ切った」ときに「もうダメだ~」とか言いながら崩壊すると思いたくなる。でも、実際は全然ちがう。不安定な原子核の崩壊は、ギャンブル的に(かっこよく言えば、確率的に)デタラメにおきる現象なのだ。
「各々の原子核が1秒間に一回ずつ『運命のルーレット』を廻し『00』が出たらすぐに崩壊する」という「たとえ話」はかなり正確だ。運が悪ければすぐに崩壊するし、運がよければずっと崩壊しないで、もとのままの姿をしている。そして、ルーレットを何回まわそうと、原子核が「疲れていく」こともないし、「原子核の中のタイマーが進む」こともない。崩壊しない限り、不安定な原子核は最初とまったく同じ「フレッシュな不安定な原子核」のままなのだ(なんでそんな変なことになっているのかは、量子力学というのを使うと理解できる)。
同じ種類の不安定な原子核がたくさんあったとしよう。それぞれの原子核が「運命のルーレット」を廻す。「ハズレ」を引き当てた原子核は崩壊していくので、不安定な原子核の数は徐々に減っていく。こうして、残った不安定な原子核の個数が最初の半分になるまでにかかる時間を半減期という。たとえば、ヨウ素 131(131I)の半減期は約8日だ(ヨウ素131はベータ崩壊してキセノン131(131Xe)になる)。仮に、最初にヨウ素131が1グラムあったとすると、8日後には約0.5グラムに減っているということだ。
話が面白くなるのはここから。
ちょうど半減期だけの時間がたった後、崩壊せずに残っている不安定な原子核たちを見てやろう。「仲間の半分が消えてなくなるほどだから、残ったやつらも疲れ切っていて、命は残りわずかだろう」と思うのが人情だが、原子核に人情は通用しない。上で書いたように、崩壊しないかぎりは、不安定な原子核は最初とまったく同じ「フレッシュな不安定な原子核」なのだ。だから、崩壊せずに残った不安定な原子核だけを見てやれば(全体の個数は減っただけで)最初の状況とちっとも変わらないのだ。
ここから、ちょうど半減期だけの時間がたつとどうなるか?上の説明から答えはわかっていると思うけれど、不安定な原子核の数は、やっぱり、また半分になるのだ。つまり、最初からみれば、4分の1ということになる。
さっきのヨウ素の例でいえば、最初に1グラムだったのが、8日たつと0.5グラムになり、もう8日たつと0.25グラムになり、もう8日たつと0.125グラム、という具合。「8日たつと半分」というのが(ヨウ素131の原子核が極端に少なくなるまで)ずっと続くということになる。
今、福島を中心にした広い範囲で、セシウム137(137Cs)という放射性物質が地面にくっついている。ぼくの住んでいる東京の地面にもある。セシウム137の半減期は約30年だ。つまり(ぼくがおじいさんになっているだろう)30年後にようやく半分になり、(ぼくが生きているかどうか、かなり微妙な)60年後に4分の1になるということだ。実際には、土がセシウムごと流れていったり、道路の表面からセシウムを含むかけらが削りとられて下水に流れたりといったことで、地面についているセシウム137は、もう少し早く減っていくと思うけれど。
これが半減期の意味だ。「半減期は人の寿命に似ていますね」という説明が放射線の専門家の書いた本のなかにあった。(上の説明を読んだ人には完璧にわかっていると思うけれど)それは全然ちがう!!
さすがに大学教授だけあり、こなれた感じがする説明ですね。
こちらの要点をまとめると以下になるでしょうか。
- 放射線は放射性物質の原子核が変化(崩壊)する時に出てくる
- 放射性物質の原子核の崩壊は、ギャンブル的(デタラメ)に起きる現象
- 放射性物質は崩壊しない限り、最初とまったく同じ原子核のままので存在する
- 放射性物質の個数が最初の半分になるまでにかかる時間が「半減期」
続けて三つも「半減期」についての説明文を読んでいただいたので、表現の仕方が違っても「だいたい同じことを言っているな」と分かるくらい、「半減期」について理解していただけたことだと思います。
ここで一度、引用した「半減期」に関する説明文の要点をまとめておきます。
- 放射性物質の原子核が変化(崩壊)する時に一度だけ放射線を出す(変身しない時には放射線を出さない)
- 放射性物質が絶えず放射線を出し続けているという考えは間違い
- 放射性物質は崩壊しない限り、最初とまったく同じ原子核のままので存在する(放射線を出す能力=放射能が弱まるということはない)
- 放射性物質があったとしても、原子核が変化しない(崩壊しない)限り、放射線は出てこない
- 放射性物質の個数が確率論的に最初の半分になるまでにかかる時間が「半減期」
- 放射性物質の原子核の崩壊は、ギャンブル的(デタラメ)に起きる現象(=規則性がない)
- 半減期は確率論なので、特定の原子がいつ崩壊を起こして放射線を出すかは誰にも分からない
- (一定数の放射性物質があると仮定した場合)半減期が短い放射性物質ほど短期間で放出される放射線の数が多くなる
- (一定数の放射性物質があると仮定した場合)半減期が長い放射性物質ほど短期間で放出される放射線の数は極めて少ない
- 半減期が長いからといって危険度が高いということではない
環境省の説明
「半減期」について十分理解が深まったところで、次は公的機関である環境省による説明を見てみましょう。
まずは「放射性物質」や「放射線」についての説明を見ていきましょう。
壊変と放射線
放射性物質では、原子核がエネルギー的に不安定な状態にあります。そこで、余分なエネルギーを出して、安定な状態に変わろうとします。このエネルギーを放射線として放出します。
放射能の強さを定量的に表すときに、ベクレルという単位を使います。1ベクレルは「1秒間に1個原子核が変化(壊変)する」量です。原子核が変化する際に放射線を出すことが多いので、ベクレルが放射線を出す能力の単位となっています。例えば、岩石の放射能が1ベクレルであった場合、岩石に含まれている放射性物質の原子核は、1秒間に1個変化することを意味します。10ベクレルであれば、1秒間に10個変化することになります。
放射性物質の原子核が変化し、放射線を出してエネルギー的に安定になれば、放射線を出さなくなります。放射性物質の中には、安定になるまで原子核の変化を複数回繰り返すものもあります。
一見するとここまで見てきた説明文とそれほど変わらないような印象を受けますが、「だいたい同じことを言っているな」というよりも「何かが違うな」という違和感が残ります。
その違いが何かを知るために要点をまとめてみます。
- 放射性物質の原子核が余分なエネルギー(放射線)を出して安定な状態に変化(壊変)する
- 放射線を出して安定な状態になった物質は放射線を出さない
- 放射性物質の原子核が変化し、放射線を出してエネルギー的に安定になれば、放射線を出さなくなる
三つ目の「放射線を出してエネルギー的に安定になれば、放射線を出さなくなる」という内容が、ここまで見てきた説明文にはなかった要素ですね。
放射性物質に対する知識がない人が「放射線を出してエネルギー的に安定になれば、放射線を出さなくなる」と言われると、「放射性物質はエネルギーを出し切って安定な状態になるまでは、放射線を出し続けている」という解釈をしてしまいそうです。
他の説明文のようにはっきりと「原子核が変化する時だけ放射線を出す」といった内容で断言してしまえば、このような誤解が生じることはないでしょう。
そのうえで「放射性物質は常に放射線を出しているわけではありません」といった説明があれば、国民も余計な心配をしなくて済むはずです。
無理やり理屈をつけて解釈をするなら、1ベクレルは「1秒間に1個原子核が変化(壊変)する」量です。原子核が変化する際に放射線を出すことが多いので
という部分が、このように指摘された時の言い逃れのために添えられているのかもしれません。
また、「放射線を出すことが多いので」ということは「放射線を出さないこともある」ということなのでしょうか?
その前の段落で「このエネルギーを放射線として放出します」と言っているにもかかわらず、「原子核が変化する際に放射線を出すことが多い」と辻褄が合わないことを言っているのもおかしなものです。
曖昧な表現を使って国民を惑わそうとしているのでしょうか?
それでは次に「半減期」についての説明を見ていきましょう。
半減期と放射能の減衰
放射線を出すことでエネルギー的に安定な状態となった物質は放射線を出しません。時間がたてば放射性物質の量が減り、放射能も弱まります。こうして放射能が弱まり、はじめの半分になるまでの時間を(物理学的)半減期と呼びます。
半減期分の時間が経過するたびに放射能が半分となるため、半減期の2倍の時間が経過すると、最初の状態の4分の1に減ることになります。横軸を経過時間、縦軸を放射能の強さとしてグラフに表すとスライドのような曲線になる(指数関数的に減る)ことが分かります。
半減期は放射性物質の種類によって異なります。例えばヨウ素131の半減期は約8日、セシウム134の半減期は約2年、セシウム137の半減期は約30年です。
なお、体内に取り込まれた放射性物質は、臓器や組織に取り込まれた後、排泄されます。排泄によって体内の放射性物質の量が半分になる時間を生物学的半減期といいます。
こちらのページでもまた放射線を出すことでエネルギー的に安定な状態となった物質は放射線を出しません
という説明だけで、「安定な状態に変化する時にだけ放射線を出す」という説明がありませんね。
やはり「エネルギー的に安定するまでは放射線を出し続けている」かのような誤った認識を国民に植え付けようとしているのでしょうか?
また、「放射性物質が放射線を出す能力を放射能と言います」といった説明もなく、やたらと「放射能」という言葉を多用することも気になります。
他の説明文と同じように「放射性物質の数量・個数」とした方が正しい表現(グラフの画像にも「放射性物質の量が半分になる時間」と書いてあります)であり、その方が子供でも「半減期って放射性物質の数が半分に減るまでにかかる時間のことか」と理解できるでしょう。
そこを敢えて何の説明もなく唐突に「放射能」という言葉を使うことは、不親切というよりも悪意しか感じません。
また、理論上は放射性物質の数量が多ければ「放射線を出す潜在的な能力が高い」とも言えますが、放射性物質が常に放射線を出していない以上、放射性物質の数が多いことが「放射能が強い」(「放射線が強い」と誤認させようとしている?)という表現は不適当だと言えるでしょう。
子供でも知っているように、嘘を吐いて人を騙すことは悪人の仕業です。
このように国家が国民に対し間違った情報を提供し、国民を騙そうとしていることからも、日本が悪人たちに支配されているという現実が見えてきますね。
関西原子力懇談会の説明
それでは次は平成24年度から中学校の理科の授業に導入された「放射線教育」用として、「関西原子力懇談会」から教員に向けたガイドブックとして提供されている資料を見てみましょう。
- 放射線、放射能、放射性物質。似ていますが、それぞれ意味が異なります。また、放射線を出す能力は、時間とともに減衰します。
- 放射線を出す能力が「放射能」で、受けた放射線の量が「線量」です。
- 放射能と線量を表す単位は異なります。人体への影響の度合いを表す場合、「シーベルト」を用います。
放射線を出す物質とその力
放射線は高速の粒子か波長が短い電磁波です。この放射線を出す物質を「放射性物質」、放射線を出す能力を「放射能」といいます。これを懐中電灯に例えると、「放射線」は電球から出た光、「放射性物質」は光を出す能力を持つ懐中電灯、そして、懐中電灯が光を出す能力が「放射能」になります。 そのため、もしも放射線が漏れたとしても、光が壁に遮られるのと同じで、遮る物があれば放射線も減らせます。 しかし、放射性物質の場合は、懐中電灯の光が懐中電灯を消さない限りなくならないのと同じで、放射線を出す放射性物質を取り除くか、放射能がなくならない限り、放射線は出続けます。~中略~
放射線を出す能力は時間とともに減衰します
放射性物質が放射線を出す能力「放射能」は、時間とともに弱まり、最終的には放射線を出さない安定した物質になります。放射能の量が半分になるまでにかかる時間を「半減期」といい、その時間は放射性物質の種類によって決まっています。
例えば、福島第一原子力発電所の事故で大気中に放出された「ヨウ素131」の半減期は8日、「セシウム137」は30年です。「ヨウ素131」の場合、8日で放射能は半分に、16日で1/4と、8日経つごとに半分ずつに弱まっていきます。
こちらの説明文では、「放射性物質の数量」という言葉は一切出てきませんでしたね。
その代わりに最初から最後まで「放射能」という言葉だけで押し通しています。
また、「崩壊・壊変」に関する話が一言も出てこないので、「安定な状態に変化する時にだけ放射線を出す」という非常に重要な情報が抜けているため、「ちょっと詳しく」どころか「ちっとも詳しくない」説明になっています。
そのうえ、放射性物質を懐中電灯に例え、放射性物質が継続的に放射線を出しているかのような印象を与えようとしているところも悪質ですね。
何も知らない中学生たちが放射線を出す放射性物質を取り除くか、放射能がなくならない限り、放射線は出続けます
と学校で教え込まれたとしたら、将来正しい情報に出会った時に、真実と嘘を見分けて正しい情報を選択できるでしょうか?
このように中学校の理科の授業で放射能に対して誤解を抱かせるような教育が行われているのも、原子力村が今後も利権を維持していくために、国民に「放射能は危険で恐ろしいもの」だと洗脳する必要があるからでしょう。
ここで放射能関連の洗脳工作を行っている関西原子力懇談会の関連団体を見てみましょう。
○関連リンク -関西の原子力・放射線関連施設- | かんげんこん | 関西原子力懇談会
原子力村の関連団体が勢揃いしています。
文部科学省も、環境省も原子力村の一員に名を連ねていますね。
また、電力各社や東芝・三菱・日立といった大企業はマスコミにとっての大事なお客様です。
東日本大震災以降にマスコミが流していた「放射能」に関する情報も、「放射性物質が崩壊(壊変)する時にだけ放射線を出す」という説明はなかったように思いますが、こちらの内容に準拠したものが使用されている可能性もあります。
そうなると子供たちだけでなく、国民の大半が洗脳工作を受けているということになりますね。
まとめ
最後にまとめとして「半減期」に関する要点をおさらいしておきましょう。
- 放射性物質の原子核が変化(崩壊)する時に一度だけ放射線を出す(変身しない時には放射線を出さない)
- 放射性物質が絶えず放射線を出し続けているという考えは間違い
- 放射性物質は崩壊しない限り、最初とまったく同じ原子核のままので存在する(放射線を出す能力=放射能が弱まるということはない)
- 放射性物質があったとしても、原子核が変化しない(崩壊しない)限り、放射線は出てこない
- 放射性物質の個数が確率論的に最初の半分になるまでにかかる時間が「半減期」
- 放射性物質の原子核の崩壊は、ギャンブル的(デタラメ)に起きる現象(=規則性がない)
- 半減期は確率論なので、特定の原子がいつ崩壊を起こして放射線を出すかは誰にも分からない
- (一定数の放射性物質があると仮定した場合)半減期が短い放射性物質ほど短期間で放出される放射線の数が多くなる
- (一定数の放射性物質があると仮定した場合)半減期が長い放射性物質ほど短期間で放出される放射線の数は極めて少ない
- 半減期が長いからといって危険度が高いということではない
この要点をふまえて文章にしてみました。
放射性物質が絶えず放射線を出し続けているということはなく、原子核が変化(崩壊)する時までは放射線を出すことはありません。原子核が変化する時だけ放射線を出します。その放射性物質が最初の個数から半数になるまでの期間を確率論を基に定めたものを「半減期」と言います。目の前に半減期が30年のセシウム137が一粒あると仮定します。ではその変化はいつ起きるのでしょうか?放射性物質の原子核の崩壊はギャンブル的に起きるので、それは誰にも分かりません。次の瞬間に変化して放射線を出すかもしれませんし、半減期の2倍の60年が過ぎても変化しないでそのまま存在している可能性もあります。これが放射性物質の「半減期」です。
実際は「放射能」や「原発」が嘘だと知ってしまうと、このようなことを定義しても虚しいことになるわけですが、いきなり原発や放射能が存在しないということを受け入れていただくには抵抗があることは承知しておりますので、先ずは原子力利権に関して国家ぐるみの詐欺が行われていることをご理解いただくために「半減期」についての情報を比較してみました。
世の中の悪が全て滅び、あなたに救いがありますように。
すべての人に同一に臨むのは、日の下に行われるすべての事のうちの悪事である。また人の心は悪に満ち、その生きている間は、狂気がその心のうちにあり、その後は死者のもとに行くのである。
伝道の書 9章3節